학술저널
従来, 中国法制史の研究に於いては概ね制度の外郭解明に比重がたが置かれてきたが, 社会と人タの意識の次元から法を捉えることが必要であると筆者は考える。 かかる問題意識よリ本稿は主に太平広記所収の唐代入冥譚を題材として当時の中国人の法意識を探ろうとするものである。 そこに見える地獄の裁きは現実の律令裁判の模倣であったが, 次第にその裁きは宗教的厳さを矢い世俗化してぃくとともに, ついには裁きの消滅, 地獄の現世への従偊を見るに至る。 それは国における伝統的な不死の信仰と, 神による正裁の実現なる西洋的法観の欠如がもたらした結果であったが, またそこには現世の人惰を裁きの基準とする 「原情主裁」の現れをも看することができる。 「原情主裁」 は現実の律と裁判に於ける基本原則の一であり, その地獄説話への反映は当時の中国人の意識における正裁の所在を示すものと考えられる。
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