『水墨集』に関する-考察
A studyon “Suibokusyu” of Hakusyu Kitahara
- 일본어문학회
- 일본어문학
- 日本語文學 第48輯
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2010.02351 - 372 (22 pages)
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本稿では、主に北原白秋の水墨集の詩風を特徴づける閑寂境という観点から論じてみた。まず、この詩に収められた詩論から、「境涯」「自然への随順」「実相観入」など、東洋的な態度が目立っていることがわかる。水墨集の代表作「落葉松」は実相観入の好個の実践作であり、その視線は「見る」というより「観る」という方がふさわしいもので、「からまつ」のうちに「さびし」さを観て、同時に旅人の「さびし」さを重ねている。それは、當時白秋が一つの理想境としていた閑寂境の詩的形象であり、松尾芭蕉の俳諧の理念であるさびに通じる精神が息づいている。その点からも、伝統的なさびの精神の型を踏まえているといえよう。水墨集の中で白秋が重視していた水墨集の章では「老荘の無為の思想」と「東洋人」としての自覚、自然讚歌、そして、簡素の精神が盛られている。この章については、従来全く評価されてこなかったが、その東洋的風景への没入や芸術的境地の詩移しかえの試みから、中期以降の東洋的思想への傾斜と日本回帰、詩に対する美意識の問題まで、さらに考察することによって、當時の詩壇の孕む対立にとどまらず、日本近代詩の孕む宿命にまで、深くメスを入れることができるのではないだろうか。
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