協働学習の過程を観察する目的で授業を録画しアンケート調査の結果と共に考察したところ、問題点が明確になった。協働学習は円満な相互作用が前提で、フィードバックの充実や有効な結論もそこから生じる。調査の結果、相互作用を阻害するのはただ乗りと独走の存在であり、原因として、グループの人数、日本語能力と学習者タイプの違いが挙げられる。そして学習 者タイプは日本語能力より優位な要因であることがわかった。グループの人数としては3人の相互作用が4人より充実していた。また、日本語能力と学習者タイプの組み合わせの内、固定系グループが問題を内包している。《上位+固定グループ》の主な関心はボーナスポイントにある。このグループは能力が等しく親しいメンバー同士では効率的に結論を生産できるが、親しくない学習者との相互作用に関心が薄くポイント獲得に向け独走する可能性がある。《下位+固定グループ》は親しい関係での楽しい学習を望み、能力向上への関心は相対的に薄い。協調的で能力の高い学習者のリードに出会えば相互作用にも参加し楽しく学習できる。だが、親しくない能力が高い学習者が複数いるグループでは発言することを控えることもある。このように、固定系グループは非固定系に比し外的環境の変化によって生じる変数が大きい。
1. はじめに
2. なぜ協働学習をするのか
3. 望ましい協働学習の姿
4. 協働学習の観察
5. 日本語能力と学習者タイプによる分類
6. まとめ - 協働学習における問題の所在と原因 -
(0)
(0)