近代日本における「国民」形成と兵式体操に 関する一考察
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- 日本語文學 第49輯
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2010.05385 - 406 (22 pages)
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本稿は日本の初代文部大臣として誰よりも早く国民国家づくりを意識しており、国民国家の基盤を作った森有禮の教育思想と身体管理政策、特に近代化の一指標である「従順な身体」づくりのため森が導入した兵式体操に焦点を當て明らかにしていくことを目的とする。森は「国民的」スケールでの身体の改造ということに、日本で最も早く着目した人物であり、教育における身体訓練と兵式体操の必要性について積極的に発言していく。森は文部大臣になった後、師範学校などで軍隊式教育と兵式体操を取り入れるなど人格形成の教育に力を注ぎ「従順な身体」づくりを通しての「国民」形成を目論んだ。兵式体操は身体の育成のみならず、「愛国心」や勇敢な精神を育成する手段として注目されていた。兵式体操は、森文相の教育政策の中で強力に推進されたもので、1913年に「教練」となるまで普通体操とともに体操科の中心にあった。森のこうした国民づくりの方法は、天皇を中心とした国教作りを目指し国民精神を統制しようとした元田ら保守派とは違う国家主義であった。その後、兵式体操は各地域の連合運動会で登場しただけでなく、森が文部大臣になってから師範学校における遠足、行軍、体育会など様々な軍隊の演習類似の行事が実施され、日本人の身体に規律訓練的要素を刻み込もうとした。
1. はじめに
2. 教育を通した「国民」づくりと啓蒙活動の展開
3. 身体鍛錬と「忠君愛国」の手段として兵式体操
4. 国家の身体管理と学校における兵式体操の導入
5. 師範学校の兵営化と兵式体操の拡大․浸透
6. 終わりに
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