斉信関連章段の内容は、清少納言の斉信への賞讃や交友関係の変化を描く記事が多くみられる。章段によっては、清少納言自らが表に立ち、他者から評価を受けることが描かれている。先行研究を確認すると、斉信と政治状況、彼への讃美に主眼をおくものが多く見られる。清少納言は、常に中宮定子の体面を念頭において、主家の女房としての公的な立場の上、行動しようとする。それは、清少納言の斉信への態度や賞讃の方法によく反映されている。清少納言が、自分の身体と喪服の姿を描く理由は、斉信の華麗な姿と対比させ、道隆の薨去の惨めさを浮き彫りにしつつ、自分は中関白家の人間である、と自ら言い聞かせ、公的立場へ変えていく彼女の意図があったからである。本稿では、斉信関連章段における清少納言はどのように描かれているのかについて考えてみた。斉信関連章段には、斉信と清少納言との私的な交流だけでなく、中宮定子を含む聞き手の反応を書いたり、自己を卑下したりする方法を通して、執筆時点で過去の時点における自身の生き様を書きとどめようとする清少 納言像がうかがえる。
はじめに
一、『枕草子』の斉信関連章段
二、斉信関連章段における人々の視線
三、清少納言の自己表現
おわりに
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