青木洪の日本語文学少考
A Study on Aoki Hirosi’s Japanese Literature
- 일본어문학회
- 일본어문학
- 日本語文學 第55輯
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2011.11445 - 462 (18 pages)
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植民地期末期に活躍した青木洪に関する研究は、管見の限りまだ皆無に等しい状況である。正規の教育をまともに受けたことがなく専業作家でなく左官として働きながら執筆をしていた青木洪は、日本で文壇デビューをケースであるが、それが意外にも華々しいもので1941年8月第一書房より書き下し長編小説「耕す人々の群」を刊行し、翌年には農民文学懇話会有馬賞を受賞する。青木洪の日本語文学からは虐げられた女性に向けられた彼の暖かい視線が感じられるが、なかでも彼女たちをそのような状況に陥らせた現状を批判的に捉え問題提起している作品が日本の総合雑誌『中央公論』に掲載された「ミィンメヌリ」である。 「ミィンメヌリ」は、日本の朝鮮統治が因習の犠牲にされている朝鮮女性を解放してくれるだろうと、被植民地の前近代性を批判することによって日本の植民地統治を正当化している親日文学である。そして、日本の朝鮮表象と合致しながらもその素材が特異であり、30年代朝鮮人が書いたプロ文学と論理の展開様相が似ていながらも時局とも符合しているこの作品の両義的特徴は、当時の日本文壇が植民地文学に求めていたところである。また、総動員体制下で動員を逃れるために多くの朝鮮人娘たちが急いで嫁いでいく早婚の風潮が社会問題化していた当時の状況を踏まえると、早婚を批判しながら婚姻制度の是正を要求している本作が、当時の名だたる作家達と共に『朝鮮国民文学集』に掲載されたことも時代的状況と合致していたためであったからと理解できる。
1. はじめに
2. 作家紹介と作品の特徴
3. 虐げられた女性への眼差し
4. 教化による因習打破 - 「ミィンメヌリ」 -
5. 日本文壇の状況と総動員体制
6. おわりに
参考文献
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