発音指導において学習者が実際の発音をどのように聞き取っているかという側面は重要で、学習者の聴覚イメージの形成が学習におよぼす影響は無視できない。韓国での日本語教育では日本語の発音にハングルをあてはめて教えることがしばしば行われる。そこで、そのことが学習者の聴解イメージに影響をあたえ、現実とは異なる仮想の音韻体系をつくりだしているのではないかと考え、そうした仮説のもとで韓国語話者を対象に日本語学習者と非学習者の集団に対し、日本語の無意味語と基礎語を聞かせ、それをハングルで書き取ってもらうという実験をした。その結果、いくつかの項目で日本語学習者の集団のほうが非学習者よりも現実からはなれた表記をえらぶという現象がみられ、日本語教育を受ける過程で、ありのままの発音よりも、仮想の音韻体系に合わせて発音を解釈してしまうという現象が進行していることが確認された。仮想の音韻体系は実際の日本語の音韻とは異なる部分があり、そうした部分については教育の逆機能が働いていると考えられるので、その逆機能を抑制する対策が求められる。
〈要旨〉
1. はじめに
2. 問題提起
3. 従来の指摘
4. 作業仮說
5. 調査
6. 結果分析
7. 提言
【参考文献】
付表 : 日本語ハングル転写法(문화 체육부 고시 “외래어 표기법”より)
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