학술저널
何故天武は自分を神武に投影しようとしたのか。また、その歴史的な投影をもって、天武は果たして、何を求めていたかという点である。史書の書かれた歴史の構図から推測できるのは、天武の神武への投影には、壬申の乱の正当化よりは、天武自身の皇位への継承における正統性の追求という側面が強く窺えるという点である。したがって「神武記」は、まさに正統に神の血を継承している場面が重視されている神話であることがわかる。と考えると、「神武記」は建国の問題よりは、血の継承と正統性の意識の強い神話、すなわち王権神話的要素が強いと言わざるを得ないのである。
〈要旨〉
Ⅰ. はじめに
Ⅱ. 歷史的構図から見る「神武記」
Ⅲ. 「神武天皇記事」における建国神話的要素
Ⅳ. むすび
【参考文献】
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