一般的に俳句には2つの大切な約束がある。第1に1句の中に必ず季語が含まれていること,第2は使われる音数が17音で,しかも5音7音5音という3節から成り立っていることである。第3に当るのが切字であると言える。本考は俳誌『蕗』の雑詠の切字「や」「かな」「けり」のことである。「俳誌『蕗』の雑詠考-切字「や」「かな」「けり」を中心として-」のことをまとめると次のようである。(『蕗』平成20年/2008年 4月号,通巻 436号) 1. 「『蕗』の雑詠」の掲載句は2,268句であり,切字「や」「かな」「けり」が用いられてある対象句は467句である。(20.6%) 切字「や」「かな」「けり」に大きく分けると,「や」(109句:4.8%),「かな」(199句:8.8%),「けり」(159句:7.0%)と分けられる。 2. 芭蕉の発句の994句において,切字「や」「かな」「けり」が用いられてある対象句は585句である。(58.8%) 切字「や」「かな」「けり」に大きく分けると,「や」(352句:35.4%),「かな」(208句:20.9%),「けり」(25句:2.5%)と分けられる。 3. 要すると,切字「や」「かな」「けり」の使用の頻度において芭蕉の発句より『蕗』の雑詠のほうが高くないことや使用の頻度順も一致しないことなどがわかる。すなわち,芭蕉の発句の場合には切字「や」(35.4%)「かな」(20.9%)「けり」(2.5%)という使用の頻度順であり,『蕗』の雑詠の場合には切字「かな」(8.8%)「けり」(7.0%)「や」(4.8%)という使用の頻度順である。これまでのことを取り入れ,日本を越えて世界に広がっている日本の代表的な詩歌でもあり,文化でもある俳句の望ましい研究が一層活発になってほしいことである。
〈要旨〉
Ⅰ. 序言
Ⅱ. 本論
Ⅲ. 結言 및 提言
【参考文献】
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