韓国における日本推理小説の受容に関する研究は過去にもなされてきたが、その多くはただ批評の段階に止まっているか、外国推理小説の一部として紹介されたものにすぎなかった。戦後、政治的激変の時代から民主化の時代を経て、現代に至るまでミステリーといわれる『大衆ジャンル』はどのように受容されてきたのか。本研究では日本文学のなかでも『ミステリー小説』が韓国内でいつから、どのような規模で、どんな作家の作品が、どのように受容されてきたのかについて、時代的背景、出版界の動向などを中心にして考察したものである。 韓国内での推理小説の受容は、日本のものから始まったと言っても過言ではない。植民地時代には、日本推理小説が直接日本語で受容されたり、その原点ともいえる黒岩涙香の作品が再翻案されたりした。終戦後は、李承晩政権により日本書籍の翻訳及び出版が抑圧されていたため、1960年までは日本文学の出版が行われていなかった。その後、1960年の4月革命を皮切りに日本文学全集類が刊行されはじめた。それと同時に、日本推理小説もその全集類に収録され、韓国の読者らに紹介された。1970年代は朴政権の維新体制下で、松本清張、森村誠一のような社会派推理小説が流行し多く出版された。また世界推理文学の全集類刊行の流行に伴い日本推理小説の出版も盛んになった。このブームは1980年代に引き継がれ全盛期を迎るようになる。権威主義で象徴される第5共和国に政権が変わると、社会告発小説が流行り、その影響で日本の社会派推理小説の受容も幅広く行われた。その後、『大衆消費時代』と言われる1990年代になると、以前の社会派推理物に代わって赤川次郎や夢枕獏らが人気を得始めた。また、1990年代には貸本屋の増加により、日本ミステリー小説の読者層も大きく拡大した。2000年代に入り東野圭吾に代表される大流行作家の登場により、以前に比べ急激にその出版量も増えたのであり、またそれまで注目されなかった作家にまでその範囲が広まり、日本ミステリー小説界における多数の作家が韓国に紹介された。 以上、戦後から2009年までの受容史を分析することにより、日本ミステリー小説は植民地時代から戦後を経て、その後も持続的に受容されてきたことがわかった。又その受容の背景において、韓国の政治ㆍ経済ㆍ社会における状況と共に、韓国出版界の状況が密接に結び付いていることなどを確かめた。
Abstract
Ⅰ. 들어가며
Ⅱ. 각 시대별 번역현황과 분석
Ⅲ. 나오며
참고문헌
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