『わがうへに露ぞ置くなる』考
A Study on “Waga Ue-ni Tsuyu-zo Okunaru”
- 일본어문학회
- 일본어문학
- 日本語文學 第58輯
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2012.08219 - 236 (18 pages)
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本稿の目的は、古今和歌集と伊勢物語に共通する歌「わがうへに露ぞ置くなる天の河門渡る舟の櫂のしづくか」という歌の本来の姿を探ることにある。上記の歌は「天の河」「舟」「櫂のしづく」という、七夕を指し示す単語が多く用いられながら、「わがうへに露ぞ置くなる」の意味の分かりにくさからか古今和歌集では七夕の歌とされず「雑歌」に分類されている。 また、伊勢物語においても同様で、この歌は突然人事不省に陥った男が顔に水をかけられることで蘇生し、「わがうへに」と朗詠する話に採られている。この歌は古今和歌集でも伊勢物語でも七夕とは一切関係のない歌として扱われているのだ。 本稿では、この歌が詠まれた時代の歌集、萬葉集と古今和歌集に収録される「露」「置く」を含む歌全ての類型を調査することで、「わがうへに」の「うへ(上)」の本来の形が「そて(袖)」であり、この歌が本来「我が袖に露ぞ置くなる天の河門渡る舟の櫂のしづくか」と七夕の夜の恋の涙を詠んだものであることを推定し、結論とする。
1. 序
2.『古今和歌集』における『わがうへに』歌
3.『わがうへに』歌の『伊勢物語』での様相
4. 七夕の歌の伝統
5.『露』はどこに『置く』のか
6. 転化による誤読の可能性
7. 類歌の存在
8. 結論
參考文獻
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