本論文の目的はアメリカの通商政策における相互主義の変遷を歴史的に考察することによって、日米通商摩擦の経路を探ることである。分析時期に関しては、30年代半ば以前、第二次大戦以降から70年代まで、80年代以後、WTOの設立以後の四つの時期に大きく分けてアメリカの通商政策における相互主義の起源と展開を考察する。特に、アメリカの過去の通商政策における相互主義がどのように変化されたのかについて論議する。そして政策の変化がアメリカの相互主義をどのように特徴づけたのかを論じる。第Ⅱ章において、かつて30年代から70年代までのアメリカの相互主義(通商政策)は、GATTの相互主義と整合性を持っていたことを明らかにする。第Ⅲ章においては、80年代から90年代にかけて、アメリカが通商問題を処理する上で基本的な指針とみなされてきた通商法301条について論じる。アメリカにとってこの時期における301条は、GATTといった国際制度の掲げる「普遍的な相互主義」から乖離して自らの要求を押し付ける「特定的な相互主義」の手段であった。第Ⅳ章は、301条と紛争処理の強化との関連を考察する。そこでは、301条とWTOとの法的な整合性が、アメリカの中でいかに捉えられていたかが検討される。通商法301条は、かつて80年代にはアメリカの一方的な相互主義の代名詞であり、GATTの多数国間体制を揺るがす危険因子として諸国から警戒の対象とされていた。しかしながら、WTO設立後301条は、GATT/WTOの「相互主義」と整合的なものだと論ぜられるようになった。
Abstract
Ⅰ. 序論
Ⅱ. 30年代から70年代までのアメリカの相互主義
Ⅲ. GATTの相互主義からの変化――80年代
Ⅳ. WTOの相互主義への収斂――90年代
Ⅴ. 結論:日米通商摩擦の経路
참고문헌
(0)
(0)