本稿は、キリシタン文字社会の特徴をさぐる意味で、キリシタン文献の 一つである写本『吉利支丹心得書ㆍの仮名の用字法の特徴を考察した。それをまとめると以下のようになる。 まず、字体の面からみると、『吉利支丹心得書ㆍの仮名字体は75で、和字文のなかでも字体がかなり収斂された馬琴本群(平均82.7字)と草双紙類(平均70.6字)の間に属することが分かった。 次に、仮名字母の面からみると、『吉利支丹心得書ㆍは68字母で、キリ シタン版国字本の中でもっとも収斂された前期本の字母数に近かった。また、キリシタン版国字本の共通字母と比較しても、一部の字母を除いて多くの部分が一致している傾向をみせていた。 仮名の用字法として位置による使い分けをみると、語頭専用として <加><志><多2><遍><止1>が、非語頭専用として<し><多1><ハ><へ>が、助詞専用として<止2><毛1>が使われていた。さらに、仮名「は」は、ワ音を主に<ハ>で一部<盤>、ハ音を主に<者>で一部<は>、バ音を主に<者>と<ハ>で一部<は>、パ音を<者>にする音による仮名の使い分けをしていた。このような用字法は、一部を除いて、近世の仮名草子整版本や『落葉集ㆍの用字法と多くの部分で似ていた。すなわち、写本である『吉利支丹心得書ㆍの仮名の用字法が、当時特別な用字法ではなかったということである。
일본어요약
1. はじめに
2. 仮名字体と字母
3. 仮名の用字法
4. おわりに
參考文献
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