鎖国時代、朝鮮通信使は朝鮮及び異国情報を発信する役割を果たした。通信使がもたらした異国情報は当時のメディア、即ち出版物、各地の祭礼、絵画作品を通じて伝わり広まったのである。中でも世間の話題とニュースに敏感であった演劇界に絶好の素材を提供した。 本稿では通信使の訪日を背景に上演された近松門左衛門の『大職冠』をはじめ、近世演劇の大織冠物の展開に注目した。そもそも大織冠の世界は唐の皇帝との婚姻、数々の宝物を持ってやってくる使者、宝物をめぐって繰り広がる竜宮との争奪戦など、異国や異界と縁が深い。その異国の使者と宝物の行方は中ㆍ近世演劇で様々に展開し、中には異国に対する自国意識が強まったりするものもある。その一方、通信使の影響も見られる。異国の使者の来訪をイメージ化する過程で通信使の姿を借用しているなどの事例である。またそこには次第に通信使を貢物を奉る調貢使と見なす視線も表出し、近世日本人の異国観の一端を窺わせる。これは当時の朝鮮観を反映したもので、通信使情報を取り扱った絵画や出版物においても同様の例が確認できる。今後は出版物、特に行列記類を対象に当時の異国観、朝鮮像についても考察を進めたい。
일본어요약
1. 머리말
2. 근세 이전의 大織冠 세계
3. 조선통신사와 大織冠 세계
4. 조선통신사와 미디어
5. 맺음말
참고문헌
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