植民二世作家である小林勝はこれまで自らの植民地体験を背景に多くの作品を発表してきた。本稿で取り上げる「目なし頭」は彼の晩年の作品群に属しており、時代の流れと共に変化してきた作家の植民地認識と当時の日本社会に対する認識が混在している。また、肺手術によって引き起こされた肉体的ㆍ精神的な転換期において、これからの作家の進むべき道を決定づける重要な役割を果たしている作品でもある。 過去の記憶との断絶と継承をキーワードに、植民地における朝鮮人と日本人植民者の間に横たわる埋めがたい間隙と、戦後日本社会においてマイノリティーとして生き続ける在日朝鮮人たちとの向き合い方が、長い間の社会主義運動の実践の集大成としてこの作品には描かれている。自身の過ちと差別意識に対する鋭い眼差しと、それによって浮き彫りにされる異民族間の相互理解の困難さと挫折、そしてそれら全てを乗り越えて再び戦後の日本社会において厳存する差別と偏見へ立ち向かおうとする作家の決意がこの作品からは読み取れる。 歴史の証人として自らに課せられた重苦しい義務を放棄することなく、自らの内面に潜む醜悪な恥部をさらけ出しながら、戦後の日本社会を生きる日本人植民者のありのままの姿を提示し、常にその最前線に立ち続けようとする作家自身が持つ内部の葛藤がうまく描かれている。またこの作品はそのような自己批判を伴った告白的な作品であると同時に、沈黙し続ける多くの植民地体験者への警告のメッセージをも内包している。
일본어요약
1. はじめに
2. 「目なし頭」の先行研究
3. 「目なし頭」の内容分析
4. おわりに
参考文献
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