학술저널
類似している多様な作中人物の要素を取り入れるかたちで、大君の造型は行われた。それにより物語を通して確立されてきた何人かの作中人物のイメージが大君像に重ね合わされることとなり、結果としてより豊かで深みのあるモチーフのもとで大君物語を織りなしていくことができたのである。本稿はとくに「宮家の誇り」を大事に思い、それを守り貫こうとする「宮家の女君」としての大君像およびその主題がいかなる系譜をたどりついて確立したのかということを、正編の蓬生巻の末摘花を通してみてきたものである。 この「宮家の女君」像にふさわしい大君という人物を創造するために用いられたのが「源氏取り」による蓬生巻における末摘花像の引用である。しかし、その際さえも、単に末摘花のすべてをそのまま受容し、踏襲したのではなく、『源氏物語』の正編の要素を受け入れながらも、物語の論理に従い、変容させることで、その独自性を作り出している。父宮の遺志をひたすら守り続ける末摘花像を借用しながらも、その根本における相違点を丹念に語ることで宇治十帖の女主人公たり得る独自の大君像を物語のなかで造型することができ、新たな大君像が誕生したのである。
일본어요약
1. はじめに
2. 宮家の誇りの問題
3. 蓬生巻の末摘花
4. 大君造型と「源氏取り」
5. 終わりに
参考文献
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