日韓両国における朝鮮人特攻隊員に対する意識変容と追悼ㆍ忘却
- 일본어문학회
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- 日本語文學 第67輯
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2014.10495 - 522 (27 pages)
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本稿は、朝鮮人特攻隊員が誕生した歴史的背景や朝鮮人を戦争に積極的に動員する手段として利用した朝鮮人特攻隊員の「死」について分析するとともに、「アリラン特攻」として日本社会でよく知られている朝鮮人特攻隊員ㆍ卓庚鉉を中心に分析することを通して、朝鮮人特攻隊員はどういった存在だったのかを考察した。また、卓庚鉉がいつごろから日本社会で発見され「消費」されるようになったのを明らかにしたが、鳥浜トメのインタビューを通して作られた「アリラン物語」は、1980年代に入ってから本格化された。彼の物語は日本全国で「消費」されていくが、彼は「悲劇の主人公」「アリラン特攻」として同情を集めながら、日本社会に知られた存在となった。しかし、日本における朝鮮人特攻隊員は、「戦後の区切り」や感動的な映画の素材、日韓親善の一手段になっており、アリランをうたう以外に彼の肉声は聞こえてこなかった。 韓国における朝鮮人特攻隊員は、卓庚鉉の慰霊碑建立をめぐる出来事からでも確認できるように、植民地支配と歴史認識の問題、靖国神社、戦後補償、歴史歪曲問題など、戦後初期から現在に続く歴史的脈略で考えなくてはならない存在であった。一方、朝鮮人特攻隊員を「戦争の被害者」として認めている一部の世論や韓国政府が特攻として死んだ朝鮮人の「強制動員被害」を認めるなど、植民地時代を客観的ㆍ総合的に把握しようとする動きも現れている。特攻隊員自体が国家暴力による個人の生命ㆍ尊厳の侵害であったという側面からの研究をはじめ、偏ってない朝鮮人特攻隊員に対する研究が求められる。
일본어요약
1. はじめに
2. 朝鮮における皇民化政策と朝鮮人特攻隊員の「死」
3. 朝鮮人特攻隊員ㆍ卓庚鉉と続けられる
4. 知覧特攻基地戦没者追悼式と朝鮮人特攻隊員の顕彰碑
5. 朝鮮人特攻隊員の慰霊と記憶をめぐって-卓庚鉉の「帰鄕祈念碑」建立
6. 終わりに
参考文献
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