
本稿は、『日本書紀』の韓国古代人名の尊称接尾語の使用状況について考 察したものである。人名に用いられる尊称接尾語[지:chi]については、韓国古代金石文を対象とした研究があり、「知ㆍ智」と「支(只ㆍ兮)ㆍ之ㆍ次」が新羅人名の尊称接尾辞[지:chi]として用いられたとの指摘があった。 『日本書紀』の韓国古代人名にも尊称接尾語「지:chi」を表記したと推定される「知ㆍ智」と「支(岐)ㆍ至ㆍ枳ㆍ次ㆍ遅ㆍ之」が見られる。 『日本書紀』の尊称接尾語は新羅人名と共に百済、高句麗、任那、加羅人 名にも用いられているが、国籍によって表記字の使用に相違が見られる。具体的には新羅人名には「知ㆍ智ㆍ遅ㆍ至」、百済人名には「支(岐)ㆍ次ㆍ之」、高句麗人名には「枳」が使用され、任那と加羅人名にも「知ㆍ智ㆍ遅ㆍ至ㆍ支(岐)」が用いられている。このような国籍による表記字の使用の違いは韓国金石文からは指摘されなかった。それは、現存する韓国古代金石文は新羅のものが大部分であり、百済、高句麗の尊称接尾語の使用状況が把握できなかったからであろう。 一方、韓国古代金石文では尊称接尾語「知, 智」と「之ㆍ次」は出身と職級によって使い分けられた可能性があったことが言われているが、『日本書紀』では出身と職級による明確な区別は見られない。但し、「枳」が高句麗の技術者に、「次ㆍ之」が百済の技術者と藝人に用いられるいるが、用例が少くないため断定できない。
일어요약
1. 서론
2. 인명 존칭접미어의 사용상황
3. 인명 존칭접미어가 기재된 인물의 位階
4. 한국 고대 금석문의 인명 존칭접미어 사용상황
5. 결론
참고문헌