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「在庫論争」における2つの経済観の対立
- 일본어문학회
- 일본어문학
- 日本語文學 第68輯
- : KCI등재
- 2015.02
- 657 - 678 (22 pages)
戦後日本経済の高度成長初期に行なわれた「在庫論争」は、敗戦後の復興期を脱した日本経済の、新しいステージへの出発を象徴するような経済論争であった。そもそもは1957(昭和32)年度の国際収支悪化原因をめぐって、下村治と後藤誉之助という2人の官庁エコノミストの間で始まったものだが、両者の輸入在庫推計の是非が中心であった論争の内容は、やがて国際収支赤字に対する金融引き締め策の是非をめぐる両者の経済観(日本経済の現状認識)の対立へと推移し、さらに両者の経済観の対立は成長と循環の関係理解の相違に収束していく。論争の一連の経過を追うことから最終的に明らかになるのは、経済の長期的成長を重視し政策介入をさけ、企業家の自由闊達な活躍と市場の諸力を重視する下村の経済観と、短期的な景気変動を政策的に管理することで経済の安定的成長を目指そうとする後藤の経済観との対立である。
1. はじめに
2. 「在庫論争」の出発点
3. 現状の分杤と評価における対立
4. 成長と循環の関係をめぐる経済観の対立
5. おわりに