第2次産業革命以降の技術革新によって、世界全体に大きな影響を及ぼし、人間社会にも恩恵をもたらした。改革開放後の中国は、まさにその流れの中にある。しかしながら、それと同時に、女性の社会進出、高齢少子化などの現象が生じ、これらに起因する様々な課題、すなわち先進国の抱えている諸問題は、中国においても深刻化しつつある。こうした状況の中、とりわけ事理弁識能力が低下する高齢者の資産の管理および身上監護は喫緊の課題となっており、民事法の早急の整備により対応しなければならない。他方、実効性のある制度を構築するために、その国の現状や文化を考慮する必要がある。したがって、本報告は、まず、中国の家族伝統、裁判システムなどを踏まえながら、現行制度の状況を中心に整理を行った。次に、比較法の視点から以下のような結論に至った。すなわち、中国においては、従来の家族観を完全に払拭することができないため、寄与分の整備など相続制度の再構築と連動して高齢者支援制度を試みる必要性があり、また、日本で模索されている後見制度支援信託は問題解決の参照材料にもなる。
一. はじめに
二. 従来の法文化、家族形態
三. 現行制度の概観
四. 裁判所に関わる諸問題
五. 中国家族法の現状
六. 日本の経験から見た後見制度支援信託の活用の可能性
七. おわりに
<참고문헌>